DVC 奨学金の基礎知識 〜 申請方法とEssayの書き方 〜
はじめに
日本では奨学金と聞くと借金というイメージが強く、奨学金を貰う人の実におよそ80%の生徒が貸付型、要するに返済を前提とした奨学金を利用しています。
一方でアメリカでは基本的に返済の義務はなく、申請するに越したことはありません。
この記事では、アメリカの奨学金の仕組みやDVCでの奨学金への申請方法を記載します。
I. 留学にかかる費用
まず留学にどれほどのお金が必要か見てみましょう。
ほとんどの留学生が学費を親に払って貰っていますが、普段どれほどの費用を支援して頂いているか視覚化してみます。前提として、留学生は現地生と比べて学費がとても高いです。ここではまずDVCの学費を現地生と比較してみます。 (*$1=150円換算)
1単位あたりの学費
学生 | 学費(1単位あたり) | 現地生と比較した学費 |
現地生(California) | $46(6,900円) | 1と仮定 |
州外の生徒 | $364(54,600円) | およそ8倍 |
留学生 | $410(61,500円) | およそ9倍 |
なんと現地生と留学生では1単位辺りの学費がおよそ9倍も差があります。2学期制では1クラスあたり3-5単位なので、20-30万必要です。
年間の学費の総額
それに加えて留学生はF1 Visa(学生ビザ)を維持するために、毎学期最低でも12単位を取らなくてはなりません。秋学期と春学期があるので1年間で最低でも24単位(units)は必須です。
単純計算だけでも、、、
- 現地生 : $46 × 24units = $1104(165,600円 or full-timeなら学費免除あり)
- 留学生 : $410 × 24units = $9840(1,476,000円)
要するに、F1 Visaを維持するだけでもこれほどのお金が必要です。
更に詳しい内訳はコチラからみれますが、DVCは2023-2024年の留学生の1年の総費用額を$28,454(4,268,100円)と見積もっています。
これは日本の30代の平均年収に匹敵する額です。
II. 財政支援(Financial Aid)
アメリカでは基本的に 4つのタイプの財政支援(Financial Aid)があります。
留学生も対象のもの
- Scholarship : 皆さんがまず初めに想像するタイプの奨学金です。留学生も対象としている場合がほとんどで、学業成績やスポーツ、芸術やリーダーシップなど様々な要素が考慮され、奨学金の支援元によって求められている人材も違います。奨学金はGift Aidとされ、返済は基本的にありません。
- Work-Study : 留学生は学生ビザでの労働が連邦政府によって禁止されていますが、キャンパス内でのアルバイトは奨学金の一部として認められています。(ex) TutorやBook Center Staff、警備員等
留学生が受ける資格がないもの
※グリーンカードや米国籍所有の日本人学生は利用できる可能性があるので紹介します。
- Student Loan : 冒頭で記載した「日本国内での奨学金の8割」に当てはまるのが、この学資ローン(Student Loan)です。出資元への返済を前提としています。
- Grant : Scholarshipの様に対象となる人を限定している訳ではないですが、出資元が連邦政府や州政府関連となるため、留学生は基本的に対象外です。なぜなら連邦政府や州の補助金は米国市民もしくは永住権保持者だけを対象としているため、留学生はこれらの奨学金を受ける資格がありません。
- その他)FAFSA : 奨学金を調べていく上でFAFSA (Free Application for Federal Student Aid )は一度は目にする言葉だと思います。これは連邦政府の学生援助プログラムです。オンラインで登録できとても便利ですが、留学生はこれを受ける資格はありません。(*大学が奨学金を付与するのにFAFSAのデータベースを利用する場合は例外)
Financial Aidの比較表
奨学金の種類 | 留学生 | 現地生(市民権・永住権・米国籍あり) |
1. Scholarship | 〇 | 〇 |
2. Work-study | 〇 | 〇 |
3. Grant | ✕ | 〇 |
4. Student Loan | ✕ | 〇 |
その他) FAFSA | △ | ◎ |
ちなみにDVCの学生の57%が教育機関または連邦, 州, 地方政府機関から補助金, 奨学金, フェローシップのいずれかの形で教育支援を受けており、平均援助額は$3,512です。(2019~2020年度)
詳しくはコチラを参照
Ⅲ. DVC Scholarshipsの基礎知識
DVCでは、General ApplicationひとつでDVCがオファーしている全ての奨学金プログラムに申し込めます。ただし、一部別途で追加エッセイを書いて提出する必要があります。
参加資格
1. 秋学期と春学期でいずれも6単位以上履修している人(留学生は12単位)
2. GPA(学校の成績)が最低でも2.0以上ある人
申請にあたって必要なこと(*Ⅳの申請方法で詳しく解説)
- 個人情報の記入
- 2名の推薦状(1名はDVCの教職員、もう1名は貴方を詳しく知っている人物)
- DVCの非公式成績証明書
- 500字以内のEssay
- 3つのボランティアと3つのリーダーシップ経験
奨学金申請フォーム提出時期(目安)
2023年10月31日〜2024年2月15日(*2023~2024の情報)
締め切り前に提出しても、締切日までは願書の訂正や情報の更新が可能です。
Ⅳ. DVC Scholarshipsの申請方法
Step 1. DVC Scholarshipのサイトを開く
Googleで「DVC scholarship」と検索し、Apply for Scholarshipsのサイトを開きます。続いてサイト内にある「DVC Scholarship Application portal」をクリックします。
Step 2. その年度にオファーされている奨学金のリストを確認
続いて表示されるこのサイトを下にスクロールすると、応募している奨学金一覧が表示されます。「Search by Keyword」の欄に自身の専攻名などを入れると、狙いの奨学金を絞りやすくなります。今回はASDVC Academic Excellence Scholarshipを見てみます。
Step 3. 奨学金の詳細をチェック
個々の奨学金をチェックし、自分に当てはまっているかどうかをチェックします。「Criteria」(評価・判断基準)をチェックすることで、各奨学金団体が求めてる人材がわかります。その際に自身が取りに行きたい奨学金に合わせてエッセイの内容を寄せるのも一つの手段です。
* 1が報酬額, 2が締切日
Step 4. ログイン
先程Step 2で提示したこのサイトhttps://dvc.academicworks.com/の右上の
「Sign In」をクリックして申請フォームに飛び、「Sign In With Your Institution」をクリックし、InsiteのUsernameとPasswordを入れてログインします。
Step 5. General Application Questionsに回答
自身の個人情報や各種質問に答えていきます。ここで注意が必要な質問項目がいくつかあります。
高校の学区について
- “From what high school district did you graduate? (高校はどこの学区を卒業したか)”
- 日本の高校を卒業 ⇒ 基本的には Not Applicable(該当なし)
- アメリカ国内で違う校区出身 ⇒ Other (DVC周辺以外の高校)
大学に在籍した経歴について
- Have you obtained any of the following? (学位を取得したかどうかの質問)
- 日本国内外ですでに大学・高専などを卒業している場合 ⇒ 当てはまる学位を選択
- 最終学歴が高卒以下の場合 ⇒ None of the above (上記のいずれでもない)
移民やビザのステータスについて
- Are you a student with AB 540? (AB 540の資格がある学生かどうか?)
- F-1ビザをはじめとする通常のビザをもつ学生は該当しない ⇒ No
- カリフォルニア州の法律に基づく特定の非居住者・移民・不法滞在者に分類される場合 ⇒ Yes
親からの扶養に関して
- Do you live with your parent(s) or do your parent(s) provide over 50% of your support? (親と同居しているか、もしくは親からの扶養が50%以上か)
- 親からのサポートが50%を上回っている場合 ⇒ Yes → 貴方自身の今年の推定総収入と親の今年の推定総収入について記入*あくまで推定
- 親からのサポートが50%を下回っている場合 ⇒ No → 貴方自身の今年の推定総収入を記入し、親の欄にはNot Applicable(該当なし)と記入
Step 6. 推薦者として2名の人物に依頼する
- 1名はDVCの教員(DVCアカデミックコース担当教員またはDVCアカデミックカウンセラーであること
- 2人目はDVCの教員もしくはあなたを専門的または学問的に知っている別の人物(上司、高校の教師/カウンセラー、地域社会のリーダー/メンバー等)
*家族、親戚、友人からの推薦は考慮されません
注意:推薦者候補に連絡を取り、あなたの推薦状を提出する意思があることを確認することが重要です。推薦者の意思を確認するまでは、推薦者の氏名やEメールアドレスを出願書類に記入しないでください。
*教授からの推薦書が提出されるとこの部分が「Submitted」に変わります
Step 7. DVCの非公式成績証明書のアップロード
1). InSiteを開き、画面内にあるGrades-Transcriptsをクリックします。
2). 上から5つ目のUnoficial Transcriptをクリックし、ログインします。
3). District Academic History Transcriptをクリックし、非公式成績証明書をダウンロードします。
4). このサイトの右上のSign Inから再度ログインして、General Application Questionsの比較的下の方にあるTranscriptの欄に先程保存したファイルを添付します。
Step 8. Essayを書く(500字以内)
このEssayが奨学金を貰うために最も重要なパートです。
そのためこれは次の章で詳細に解説していきます。(ⅤのEssayに関してへ続く)
Ⅴ. ApplicationとEssayの相談先
以下のオフィスかアドバイザーに相談できます。
DVC Scholarship Office:Scholarshipの申請全般の相談が可能
専門のアドバイザー:DVCでのScolarshipのEssay 添削歴10年以上の教授への連絡先 (変更の可能性あり)
先ほども述べたように、Essayが奨学金において最も重要とされています。Essayをある程度書いて、一度は上記アドバイザーに添削をしてもらうと良いです。
本記事ライターは、対面とZoomの計2回添削してもらいましたが、個人的には話し合える時間を長く取れる対面の方がおすすめです。
VI. Essayの書き方
Step 1 — Brainstorming
Essayを書く前にノートやメモ帳に以下の6点を書き出してみましょう。
① 貴方のBack groundやIdentity(International Student, Japenese American)について書き出す
② 貴方がこれまでに達成したことを書き出す
- Ex) イベントの企画と開催等
③ 人生で恥ずかしかった思い出について書き出す
- Ex) 短期留学をした際に英語力の低さから最初のSocial Eventでほとんど会話できなかったことです。
- アドバイザーはこの恥ずかしい思い出を書くことがとても大事だと言ってました。なぜならその恥ずかしい経験から如何に成長したかを書くことが奨学金のEssayでは重要だからです。
④ 如何にして恥ずかしい経験を乗り越えたか
- Ex) 短期留学後、英語を必死に勉強してIELTSのスコアを1年間で4.0から6.5まであげたことです。
⑤ 今後何を達成したいか
- Ex) 編入したい学校や専攻やキャリア等
⑥ Essayに必要な内容の確認 : 奨学金Essayで求められている内容7選
- 創造性、稀有な才能
- 知的好奇心
- 業績、卓越した評価
- 苦難を克服する能力
- 主体性、やる気、リーダーシップ、粘り強さ
- 他者への奉仕
- 特別な輝き
Step 2. — 各Paragraphの構成を考える
ここではアドバイザーおすすめの段落構成を紹介していきます。
Paragraph 1 : Introduction
①まずは読み手の注意を引き付けることが重要
- Ex). I am a first-generation college student、I am an international student from Japan.
- → 自身のIdentityを書いて読み手の意識を引く事が大事です
②自身の紹介やバックグラウンド
Paragraph 2 : Challenges / Obstacles OR Meaningful Volunteer, Leadership, Internships, Work Experience
①今まで乗り越えてきた障害や現在直面している課題
②具体的な情報を提供
- Ex). In addition to being enrolled as a full-time student, I also care about the community and provide service to it. I volunteer for three hours every Saturday and belong to two student cubs at DVC.
- ポイント) 地域社会に興味を持ってることや奉仕活動などを行っていることを詳しく書いていく
③その経験から何を学んだか
④その経験が貴方の人生にどう影響を与えたか(*お涙頂戴の内容は避ける)
⑤今まで関わってきたボランティアやリーダシップ経験や仕事経験などを書く
Paragraph 3 : Carrer Goals
①貴方のキャリアゴールを簡潔に書きます
②具体的な情報を提供
③今までのボランティアや仕事経験がキャリア発掘に役立ったなら書きます
④まだ確定してないならParagraph 4 に移行します
Paragraph 4 : Education Goals
①貴方の教育目標は何か
- Ex). I want to earn a bachelor’s degree in the States
②具体的な情報を提供
③将来的にどの学校に編入したいか触れる
- Ex). UC or CSU
④今までのボランティアや仕事経験が専攻への興味に繋がったなら書きます
⑤キャリアと教育目標1つのParagraphにまとめる事も可能です
Paragraph 5 : Conclusion
①Essayの主要ポイントを要約する
②なぜ貴方が最も素晴らしい候補者なのか
③貴方が大学に通う重要性
④貴方にとって学資を取る事の重要性
⑤地域社会にどのように貢献するか
⑥なぜお金が必要なのか
その他の役立つ知識
・500字までしか書けないので各段落の項目全てを入れることは不可能といっていいです。
・自分が書きやすい事や重要な項目を各人が取捨選択する必要があります。
・文章の一貫性(coherence)を意識して書きます。
・結論(Conclusion)ではEssayの軸を再度提示することが効果的です。
提出後の注意点:Supplemental Essayの有無
奨学金プログラム・支援団体によってはGeneral ApplicationのEssayを書き終え提出した後に、さらに別のお題 (ex. 経済状況や専攻関連の活動) でエッセイを書くことが求められます。
特にバックグラウンドや特定の分野の学生への援助を目的としているプログラムでは、General Application以上により詳細な情報が求められるためです。締め切り日はGeneral Applicationと同じです。各団体毎に求められているEssayが違います。
奨学金のGeneral Applicationは締切日までなら何度でも願書の訂正や情報の更新が可能なので早めに一度、提出し、先にSupplemental Essayの中身を確認しておくと慌てずに済みます。
最後に
今回は奨学金の基礎知識と申請方法、そしてEssayの書き方についてまとめました。
実際に私自身もこの方法で奨学金を獲得できましたし、日本人の先輩方でもDVCで奨学金を獲得している人はいますので是非チャレンジしてみてください。Essayは限られた文字数の中で試行錯誤するので大変ですが、記事内で記載した教授や先輩や同級生など様々な人からフィードバックを貰いながら進めいてくのが1番の近道です。
Schoalrshipを獲得した際は編入の出願書類の課外活動リスト(Awards & Honor) で記入できますし、その経験をPersonal Statement(出願時に書く志望理由全般)に活かす事もできます。
編入出願のエッセイを書くまでに、まずEssayを書いてみるという経験はとても大事です。この記事が誰かのためになれば幸いです。
皆様の幸運をお祈りしてます!