UC San Diego紹介とカレッジ制度

はじめに — UCSDの紹介 —

University of California San Diego校はUniversity of California (UC)を代表する人気校で、州内の公立大学ではバークレー校とLA校に続いてトップ 3に入ります。世界大学ランキングでは例年30位台に入る世界的な研究大学の一つで、理系の教育のレベルの高さで知られています。

UC系列の中でも、医学と生物・環境学が特に強い大学で、STEM系を学びたい学生には根強い人気があります。ちなみに認知科学は世界でUCSDが初めて開設した専攻で、情報工学、脳科学、心理学、さらにはデザインなど幅広く学ぶことができます。(UCSDの認知科学について詳細はこちら

全学部生のうち約3割が編入生で、約2割が留学生を占めています。

サンディエゴの気候や治安の良さに加えて、学生団体の活動が盛んだったり、ガイゼルライブラリーというSF世界のような建物があったり、ビーチに近かったりと、学校の内外で充実した生活を過ごしやすいことも人気の理由です。

Geisel Library at UCSD

UCは、カリフォルニア州内の高校やコミュニティカレッジに在籍している学生を優先的に取るため、アメリカでの大学卒業を目標とする日本人の場合、一度、同州のコミュニティカレッジに入り、1・2年生分の必修クラスをとって3年生からUCに編入するルートが一般的です。

カレッジについて

他のUCと大きく違う特徴は、UCSDの学士課程の学生は全員がカレッジと呼ばれる8つのリベラルアーツのコミュニティのうち一つに配属されることです。UCSDはイギリスの名門大学からカレッジシステムを導入しました。

初めて聞くとピンと来ないかもしれませんが、ハリーポッターに登場するようなイギリス伝統の全寮制の学校システム (ハウス・寄宿学校) に近いです。ハリーポッターの世界だと、全学年の生徒が各々の特性ごとに4つの寮に振り分けられて縦割りのコミュニティに所属し、そこで生活を共にしています。

UCSDの場合、寮生活のサポートではなく、カレッジごとに特徴的な教育理念学術的・社会的な機会それらに適したコミュニティ、設備、サポート体制の提供を目的としています。

これにより、『大規模な研究大学の学問的な強み』『小規模なリベラルアーツカレッジの強み』を両立しています。

UCSDでは所属カレッジごとにカリキュラムが存在し、同じ専攻でも必修科目が変わってきます。各カレッジが独自の一般教養のカリキュラムを定めていて、学生は「自身の専攻 + カレッジの必修 + UCSDの必修(DEIなど)を履修することで卒業要件を満たさなければなりません。カレッジごとに、ライティングのクラスが多い、一般教養の単位数が多い、選択科目が多い、などの特徴があります。

専攻との相性や履修計画のしやすさ等から、このカレッジはメジャーの学生に人気という傾向があるそうです。続きでは8つのカレッジごとの特徴を紹介していきます。

ちなみに、プログラム内容によっては交換留学や短期留学の場合でもカレッジに配属されるそうです。しかし、UCSDを卒業するわけではないので履修要件を満たす必要はないそうです。

カレッジの希望を出す方法

カリフォルニア大学は同じ出願サイト (UC Application) から、志望キャンパスと専攻を選択し、一斉に出願します。

左の画像が実際のUCSDのカレッジを選ぶページです。

出願先キャンパスにUCSDを選択した場合、所属したいカレッジを第一希望から第八希望まで並び替えて希望を出します。2023年秋に開設されたEighth Collegeの編入生の受け入れは、2025年秋の入学生から始まります。

出願サイト内にも注意書きがありますが、このランキングは合否決定に一切影響することがないので安心して好きなカレッジを選ぶことができます。

また、カレッジの希望は11/30の出願締切後でも、出願者用サイトから1/31まで変更可能です。

8つのカレッジ比較

カレッジの特徴

公式サイトの説明、原文はこちら

カレッジ名教育理念・特徴相性のいい学生
RevellePurpose, Truth, Vision — Where the sciences, arts, and humanities join to educate and inspire multidisciplinary scholars.”

一般教養に重きを置き、博識なエキスパートの育成に力を入れている。
・社会科学系の学問
・学際的な分野
・ダブルメジャーに興味のある学生
・大学院への進学を目指す学生
・海外留学・研修に興味のある人
・コミカレでのMathやNatural Scienceの履修科目数が少ない場合は編入後に履修が求められるので要注意(こちらとAssist.orgで不足分を確認)
John MuirCelebrating the independent spirit — John Muir College is known for its welcoming, supportive community. They also host many organizations and activities. Muir students are recognized for their individuality and independent spirit.”

一般教養に重点を置き、学生の知的探求や創造性の発揮を促進する。
・柔軟な履修計画
・ダブルメジャーや副専攻に興味のある学生
Thurgood MarshallThe student as scholar and citizen — Thurgood Marshall College guides students of all majors and all interests to become highly engaged citizens committed to a better society.”

アメリカ社会の発展を知り、コミュニティに変化をもたらせるリーダーを育する。
・芸術、人文科学、科学に興味のある学生
・様々な大学のイベントに参加したい方
Earl WarrenToward a life in balance — Acquire the intellectual, social, and decision-making skills needed to assume responsible citizenship in a global society.”

幅広い視野をもち、社会の課題に取り組め人材を育成する。
・学業・課外活動・社会経験のバランスのとれた大学生活にしたい方
・様々な大学イベントを楽しみたい学生
Eleanor RooseveltInternational Understanding — Developing world citizens through scholarship, leadership, and service.”

文化・歴史の学習と社会貢献の機会を与え、専門知識を生かせる人材を育成する。
・現代社会に関する分野を勉強している学生
・地元コミュニティや海外で社会貢献する機会が欲しい学生
・編入の場合は、MMWという独自のコースが大変ではある
・グローバルセミナーがあり、学期中や夏の期間に米国以外への短期留学が可能
SixthInnovative, Interconnected, Aware — Cultivating curious minds to tackle the complex challenges of our time.”

テクノロジー、芸術、文化を中心とした体験型学習の機会を与え、クリエイティブな人材を育成する。
・芸術とテクノロジーに興味のある学生
・体験型学習の機会が欲しい学生(イベントの運営など)
SeventhA changing Planet — Seventh College strives to transform society by equipping the next generation of scholars, leaders and innovators with the tools to confront our changing planet.”

幅広い知識を身につけ、学際的な観点から社会のタイムリーな問題に立ち向かうスキルももつ人を育成する。
・学際的な分野を専門に学んでいる学生
・研究、インターンシップ、海外留学に興味のある人
Eighth *Engagement and Community — Committed to engagement and community in an effort to tackle worldwide challenges.”

学際的な視点から現代社会の問題や人類の幸福のために課題を理解し、社会的正義感をもつ人材を育成する。
・社会科学 (特に人種差別や経済格差、気候変動)に興味のある学生
* 2023秋から1年生の受け入れを開始し、編入生の受け入れは2025秋に開始される。

カレッジごとの必修科目の比較表

カレッジ名をクリックすると、各カレッジの公式サイトに移ります。(Transfer)と表記がある場合、1年次入学と3年次編入でサイトページが分かれているので、該当のページに進んでください。

College名1年生から入学した場合3年生から編入した場合
Revelle
(Transfer)
(1) ライティングを5コース:2 intensive university-level writing & 3 less intensive writing

(2) 芸術を1コース

(3) 2つの社会科学分野(リストから選択)

(4) 数学を3コース:2つの微積 & 他1つ(リストから選択)

(5) サイエンスコースを5コース:生・物・化から1コースずつ & 残り2つを生・物・環境から選択

(6) 外国語:以下 (a) ~ (d)のうち一つを満たす。(a) 外国語の外部試験での語学力証明、(b) UCSDで4th quarter or higher collge language course の完、 (c) APやIBスコアの達成、(4) 英語以外をネイティブとする者で一年以上その言語で高校教育を受けた者
※Fall 2024以降から適用

IGETC (**) を完了している場合 ··· HUM100。MathとNatural Scienceで不足分があれば埋める必要があり。(こちらの資料から確認

→ 必修:1クラス or 複数 (理系の学生は1クラスで済む可能性が高い)

IGETCを部分的に完了している場合 ··· IGETCがある場合の履修科目に加えて、不足しているGE分野を履修

上記以外 ··· UC Reciprocityも含めて、アドバイザーに要相談
John Muir(1) Muir Collge専用のライティングを2コース(8単位)

(2) STEM系から3コース:(a) Math & Statistics (b) Computing and Logic (c) Biological Sciences (d) Chemistry, Physics, and Environment

(3) 社会科学系11分野から1分野選び、そこから3コース (12単位以上)

(4) Fine Arts, Humanities, Foreign Languageの3分野のうち2つ選択し、それぞれから3コース (12単位以上)

(※Muirでは英語以外が第一言語でも外国語コース修了の資格にはならない)
IGETCを完了している場合 ··· 左のGE (2)〜(4) は免除。最初の3学期以内に上級ライティングコース(MCWP or MCWP 125R)を一つとる。

→ 必修:1クラス

IGETCを部分的に完了している場合 ··· 不足しているGE分野を履修。Muirライティングコース(MCWP125かMCWP50を履修)

UC Reciprocity (***) が認められた場合 ··· UCの指導教員が審査するため、Official Letterを送信(muiradvising@ucsd.edu)。左の一般教養 (2)〜(4) は免除。2つのMuirライティングコースをとる。

上記3つ以外 ··· アドバイザーに相談して決定
Thurgood Marshall(1) 文化発展に関する3つのコース:DiversityやJusticeなど

(2) Biology, Chemistry, Physicsをそれぞれ1つずつ

(3) Math, Statistics, Logicから2コース:組み合わせ方は3種類が指定されている

(4) Humanities and Cultural Studiesから2コース

(5) Fine Artsから1コース

(6) Disciplinary Breadthからのリスト4コース選ぶ:自身のメジャー以外かつUpper-Divisionのコースを2つ含む。1コースはSignificant Writingのコース
IGETCを完了している場合 ··· 左のGE (1)〜(5) は免除。(6)のMajor以外のUpper-Divisionのコースを二つとり、うち1つはSignificant Writingをとる。

→ 必修:2クラス(ライティングとMajor以外のUpper-Division)

IGETCを部分的に完了している場合 ··· 不足しているGE分野を履修。(6)のUpper-Divisionのコースを二つとり、うち1つはSignificant Writingをとる。

UC Reciprocityが認められた場合 ··· 左のGE (1)〜(5) は免除。(6)のUpper-Divisionのコースを二つとり、うち1つはSignificant Writingをとる

上記3つ以外 ··· 原則、不足分を履修するが、詳細はアドバイザーに相談して決定
Earl Warren(1) Warren Writingを2コース

(2) Ethics & Societyを2コース:指定された哲学と政治をそれぞれ一つずつ

(3) Formal Skillsから2コース:Calculus, Symbolic Logic, Computer Programming, Statisticsのリストから選ぶ

(4) 専攻外の分野から2コース:Engineering Majorは詳細必読

(5)Cultural Diversityに関するコース
IGETC完了かUC Receiprocityが認められた場合 ··· 左のGE (2), (3), (5) は免除。(1)では、Academic Writingを1コース履修。(4)では、専攻外のUpper Divisionコースから4単位のものを1つ。(ガイドラインはこちら)

→ 必修:2クラス (ライティングとMajor以外のUpper-Division)

上記以外 ··· Academic Writingを1コース。Warren College Core General Education Requirementsを完了する。(詳細はこちら
Eleanor Roosevelt(1) 人文科学と社会科学の一連のコースを履修(※ライティングをその前に履修)

(2) Quantitative & Logic Skillsから2コース:数学、プログラミング、論理、統計から選択するが、在籍する専攻によって選択方法が決まる。

(3) Natural Scienceから2コース:理科系のコースから選択する。

(4) 4th Quater (or 3rd Semester) レベルの外国語コースを修了:(a) UCSDで履修 (b) 外部試験、AP, IB, SATで必要なスコアをとる (c) 英語以外の言語で高校教育を受けた証明を提出

(5) Fine Artsから1コース

(6) Regional Specializationから3コース:うち2つはUpper-Divisionコース

(7) Upper Division Writingから1コース:他のコースでのWritingで免除される場合もある
IGETC 完了、UC Reciprocity承認、以前の学校でGE修了が認められた場合 ··· (1)のうちMMW121と122を履修

→ 必修:2クラス (ライティング)

部分的にIGETC、UC Reciprocity、一般教養修了認められた場合 ··· 不足している分野を履修。(1)のうちMMW121と2学期分のライティング (IGETCでの1Aと1B) を両方とも修了していたらMMW122を履修。ライティングが一つしか修了していなかったらMMW12を履修。

上記2つ以外 ··· 部分的にGEが終わっている場合と同様。原則、不足分を履修するが、詳細はアドバイザーに相談して決定
Sixth
(Transfer)
(1) Sixth Writing Requirementを3コース:Culture Art Techonologyと呼ばれるライティングコース3つを順番通りに全て履修。

(2) GEから11コース:① Information Tecnologyから1コース、② Social Analysisから2コース、③ Narrative, Aesthetic, Historycal Reasoningから2コース、④ Analytic/Scientific Methodから2コース、⑤ Structured Reasoning (Math) から1コース、⑥ Exploring Data (統計)から1コース、⑦ Art Makingから8単位分

(3) Upper-Division Requirementsを2コース:Experimental Learning と CAT125または125R
IGETC 完了、UC Reciprocity承認、以前の学校でGE修了が認められた場合 ··· (1)と(2)は免除。(3)をUCSDにて履修 (Experimental LearningについてはMajor Requirementで埋めることも可能:該当コースのリストはこちら

→ 必修:2クラス (ライティングとMajor Requirementと重複可能なUpper-Division)

IGETCを部分的に完了 ··· 原則、不足分を履修するが、詳細はアドバイザーに相談して決定 

上記以外 ··· 学部とカレッジ、それぞれのアカデミックアドバイザーと相談して決定
Seventh
(Transfer)
(1) Synthesisと呼ばれる3つのコースを履修:気候変動や人種差別など現代社会の問題に関する独自の科目

(2) Alternativesから10コース以下5分野からから2コースずつ:Arts, Humanities, Natural Sciences & Engineering, Quantitative Reasoning, Social Sciences

(3) High-Impact:以下のオプションから1コース:① コースナンバーが195 to 199、② Additional Department/Program Course (コースリストから選択)、③ インターン (Academic Internship Program)、④ 留学 (Study Abroad Program)、⑤ その他、実践的かつアカデミックな活動 (公式サイト参照)
IGETC 完了、UC Reciprocity承認、以前の学校でGE修了が認められた場合 ··· (1)では、Synthesis 100というコースのみ。(2)は免除。(3)を履修。

→ 必修:1クラス (ライティング)

IGETCを部分的に完了 (※3分野以上の未完は該当しない) ··· (1)では、Synthesis 100。(2)では、取得しきれていないIGETCを埋める。(3)を履修。

上記以外 ··· 原則、不足分を履修するが、詳細はアドバイザーに相談して決定
Eighth (1) Critical Community Engagement (CCE) 1, 2, 3, 120:リーディング、ライティング、プロジェクトベースのコースの基礎を4コースで学ぶ

(2) Breadth Courses から10コース以下5分野からから2コースずつ:Arts, Humanities, Natural Sciences, Quantitative Methods & Engineering, Social Sciences
IGETC 完了、UC Reciprocity承認、以前の学校でGE修了が認められた場合 ··· (1)ではCCE 110とCCE 120。(2)は免除。

→ 必修:2クラス (ライティング)

IGETCを部分的に完了 (※3分野以上の未完は該当しない) ··· (1)では、Synthesis 100。(2)では、取得しきれていないIGETCを埋める。(3)を履修。

上記以外 ··· 原則、不足分を履修するが、詳細はアドバイザーに相談して決定

注釈
一般教養はGEと記載
(*) Assistとは ··· カリフォルニア州内のコミカレとUCでの取得単位を移せるか、Lower-Divisionでの必修を調べるためのサイト(assist.orgで検索)
(**) IGETCとは ··· CA州内のコミカレのGEで、UCでのGEとして認められる
(***) UC Reciprocityとは ··· UCからLower-Division GEとして認められた単位、GE修了資格

おすすめのカレッジ

ほとんどの人にとって負担の少ないカレッジは、Seventh、Sixth、Muirです。一つのライティングのみです。Sixthに関してはカレッジが指定しているUpper-Divisionコースも取る必要がありますが、MajorのRequirementとの重複可能でかなり幅広い科目が指定科目のリストに上がっているので、ほとんどの人にとって実質は一つだと思われます。

ライティングについては、扱うアプローチやトピックは違っているので、それぞれのカレッジのサイトに記載されているコース概要を読んで決めるのをお勧めします。

MathやScienceを最低限しか履修していない方に向かないと言われているのがRevelleで、人によっては編入後に取らないといけない科目数が最も多くなるカレッジです。

MarshallとWarrenについてはライティングとMajor外のUpper-Division Courseの2つが必要で、RooseveltとEighthに関してはライティングが2つです。

Warrenについては、EngineeringのBuildingと隣接しているので、工学系の人が迷った場合は上〜中位くらいに入れておくのも良いと思います。

Eighthについては、Fall 2023より1年次を受け入れ開始し、Fall 2025よりTransferの受け入れを開始したので、Rate My Professor上や学生間での情報が少ないです。その点を考慮するとRooseveltの方が対策しやすい可能性があります。

希望は反映されるのか & 変更の有無は?

合格者の希望は考慮されているようですが、公式サイトのFAQにも保証はされていないと記載されています。第一志望に配属される場合も全く希望していなかったカレッジに配属される場合もあるようなので、基本的にはそのまま受け入れるしかありません。

かなり例外的な事例ではありますが、Majorの都合でカレッジのRequirementを満たすのが難しいというような正当な理由による申請であれば、変更できる事もあるそうです。

最後に

UCSDへ進学・留学に行かれる方は知っていて損のない、カレッジシステムについて紹介しました。

必修は毎年少しずつ変わったり、自分の専攻にあった履修方法があったりするので、WebサイトやUCSDのアドバイザーから確認することをお勧めします。

自分の思い描く大学生活や学業分野にあった選択の役に立てば幸いです。

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